ZENSHOが過去に取り組んできたモノづくり支援の裏側をお伝えします。
アルミトラスはスチール製のトラスに比べて軽く、重機を使わずに組み上げることが可能です。一方でアルミは柔らかいため加工が難しく、特にトラスのような構造体は接合部の溶接が強度を保つために重要です。
当社では、高い技術を有する中国の協力工場との繋がりを活かし、お客様のご要望にお応えしています。
写真はイメージです
声を掛けてくださったのは、すでに取引のあるお客様でした。これまで様々な資材のモノづくり支援をさせていただきましたが、今回は、アルミ製のトラスが製作できないかというご相談でした。
当社ではそれまでアルミトラスの生産は行っていませんでしたが、中国に複数ある協力工場との強い繋がりや、これまでの知見を活かして対応することが可能と判断。中国の協力企業5社を厳選し、各工場の実績と見積もりをお客様に提案しました。お勧めしたのは、既に他商材で納品実績がある工場でしたが、今回はできるだけコストを抑えたいというお客様のご意向から、最も低価格で発注できる別の協力工場に決まりました。当然、私たちには価格が低くても品質の確かな製品を届ける責任があります。また、今回は納品実績のない工場との協業ということで、いつも以上に緊張感を伴ったスタートとなりました。
中国の工場では経営者の意向によって生産の質が大きく異なることから、私たちが協力工場を選定する際には、経営者の人柄や考え方を重視しています。今回も当社の現地スタッフが協力工場に出向き、工場経営者と時間をかけて話し合いを行いました。そこで、仕事に対する姿勢や、日本企業が求める高品質な製品を、当社と共に追求していく熱意があることを確認できたため、新たな協業に踏み切りました。
こうして始まったアルミトラスの開発では、トラスの上下弦材とラチスの接合部が強度の要となることから、最適な開先形状を検証。I型、YI型の45度、YI型の60度、X型、V型の5つの試験体を作成し、熟練職人と若手職人それぞれが溶接を行いました。こうすることで個人の力量に左右されにくい開先形状が導き出せます。さらに、すべての試験体で引張り試験を実施。データ解析を行ったところ、YI型45度の引っ張り強度値のばらつきが最も小さいことが判明し、お客様にはこの開先形状で量産試作品を作ることを承認いただきました。
その後製作した量産試作品は、お客様の現場で実際に組み上げテストが行われ、製造に起因する不具合はなく、当社のモノづくり品質の高さを実証するものとなりました。
こうして段階的に実地検証を繰り返し、半年後には本格的な量産体制に移行しました。
この案件では、試作の段階で様々な開先形状と職人の技量差を考慮した試験を行い、データの解析結果を提示できたことが重要でした。品質管理に厳しいお客様からも、「これだけのバリエーションのデータから構造解析を行ってくれて助かった」というお声をいただき、当社が強みとするデータ解析を用いたモノづくり支援を高く評価いただきました。
